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放射イミュニティと伝導イミュニティの違いとは?「RIで落ちたらシールド」は間違い。現場15年が語るノイズの本当の侵入ルート

「放射と伝導イミュニティの違い」「初心者がハマる誤作動の罠」

お疲れ様です!

前回の「エミッション(ノイズを出す)」編に引き続き、今回は若手エンジニアが必ず通るもう一つの関門、「放射イミュニティ(RI)」と「伝導イミュニティ(CI)」の違いについて解説します。

教科書を開くと、こう書かれています。

教科書での説明


放射イミュニティ(RI):空間から飛んでくる電波(ノイズ)を浴びて誤作動しないかを見る試験。
伝導イミュニティ(CI):ケーブルに直接ノイズを注入されて誤作動しないかを見る試験。

「なるほど、空間から来るか、線から来るかの違いね」と分かったつもりでいると、対策の沼にハマります。実はこの2つ、現場では「繋がっている」のです。

今回は、15年間暗室でノイズと戦ってきた現場の視点で、イミュニティ試験の本当のメカニズムを解説します。

この記事でわかること


✅ RIの誤作動が「直接ICに電波が当たっている」わけではない理由
✅ 伝導イミュニティ(BCI)が放射試験の代役である理由
✅ 「RIで落ちたらシールド」という思い込みから卒業するための考え方

1. 現場の真実:RIの誤作動は「直接ICに当たっている」わけではない

初心者が放射イミュニティ(RI)で試験品が誤作動したとき、よくやってしまう勘違いがあります。それは「強い電波がIC(マイコンなど)に直接ぶつかって誤作動した!」と思い込み、とりあえず基板を金属シールドで一生懸命囲おうとすることです。

しかし、数MHz〜数百MHzといった帯域の電波の波長に対して、ICのパッケージは小さすぎます。本当に起きているメカニズムはこうです。

ポイント


① 空間を飛んできた電波を、「長いワイヤーハーネス」や「基板上の配線パターン」が受信アンテナとなってキャッチする。
② キャッチされた電波が、ケーブルやパターン上で「異常な電圧・電流の変動」に変換される。
③ その乱れた電気信号がICのピンに流れ込み、ICが「1」と「0」を誤検知して誤作動を起こす。

つまり、空間から来るRIであっても、最終的にICを狂わせているのは「線(ケーブルや基板パターン)に乗った伝導ノイズ」なのです。

注意


だからこそ、RIの対策でもケーブルにフェライトコアを入れたり、基板の信号ラインにコンデンサを追加することが有効になります。「空間のノイズなのに、なぜケーブルの対策をするの?」という疑問の答えがここにあります。
レントン
レントン

「RIで落ちたからシールドで囲む」という判断で時間を無駄にした経験が私にも何度かあります。まずノイズの侵入ルートを追うのが正解です。

2. 伝導イミュニティ(BCI)は「放射試験の代役」である

では、なぜわざわざケーブルにノイズを直接注入する「伝導イミュニティ(CI)」の試験があるのでしょうか?車載EMCでよく行われるBCI試験(バルクカレントインジェクション:ケーブルへの直接ノイズ注入試験)を例に考えてみましょう。

実はこれ、「低い周波数帯域における、巨大な放射イミュニティ試験のシミュレーション(代役)」なのです。

1MHz〜400MHzといった低い周波数の電波を、車を丸ごと包み込むような強力な電界として暗室で発生させようとすると、アンテナが巨大になり、何キロワットというとんでもない電力アンプが必要になります。

ポイント


「どうせ低い周波数の電波は、長いワイヤーハーネスがアンテナになって受信し、電流に変わって製品内部に侵入するんだ。だったら、最初からプローブで直接ハーネスにノイズ電流を注入してしまえば、強力な電波を浴びたのと同じ状態を再現できるじゃないか!
これがBCI試験の本当の正体です。
レントン
レントン

実際に私も最近、BCI試験中に通信ラインへ注入された強力なノイズがトランシーバーICを直撃し、通信エラーでフリーズしてしまうというNGを経験しました。ノイズは容赦なく「線の入り口」から急所へと向かっていくのです。

まとめ:「RIで落ちたらシールド」から卒業しよう

まとめ


✅ 空間から来る電波(RI)も、結局はケーブルや基板パターンが受信して「線」を伝ってくる
✅ 伝導イミュニティ(BCI)は、低い周波数の電波を浴びた状態のシミュレーション
✅ 「RIで落ちたからシールドで囲む」当てずっぽうの対策からは卒業する

ノイズがどこで電波から電流に化け、どの道をたどってICを直撃しているのか。そのメカニズムをイメージできるエンジニアこそが、最強のノイズ対策を生み出せるのです。


実はイミュニティの世界には、今回の話とは全く別の物理現象が2つあります。「携帯機を数センチまで近づけた途端に一発でNGになる近傍界の話」と「EVの普及で急増している磁界イミュニティの話」です。次回はこの2つの「別物の試験」について解説します。

レントン
レントン

イミュニティで誤作動すると、つい「電波がICを直撃した!」って焦って基板を金属で覆いたくなるよね。でも、ノイズは必ず「アンテナになった線」を通って侵入してくるんだ。見当違いなシールドで製品を重くする前に、まずはコネクタ付近の「関所」をしっかり守ることから始めよう!

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