『EMC評価』、『ノイズ評価』、最近よく耳にするのではないでしょうか?
例えば設計変更をした時、部品の生産中止で部品変更が必要になったとき、
「ノイズに影響する」「EMC評価やり直しだ!」などなど。
EMC評価=電磁波ノイズの耐性ということは分かるけど、
目に見えないし、体感も出来ないし。。。
実際どういう評価なのか、何を想定しているのかイメージができませんよね。
私自身も入社した当初、先輩から説明をされたのですが
横文字、アルファベットばかりで何を言っているのかチンプンカンプンでした。
この記事ではEMC初心者の方がなるべく分かりやすく、
イメージを持ってもらえるように解説していきます。
私の自己紹介
学生卒業から自動車関係の企業に就職。
入社から電子部品の評価担当として約10年間勤めてきました。
EMC評価、電子部品の環境評価専門として得た知識を発信していきます。
ノイズとは?
ノイズといっても私たちの身近にはいろいろなノイズが存在しています。
テレビやラジオのザーという砂嵐音
イヤホンで音楽を聴いている時の外の生活音
車に乗っているときの振動、揺れ
いわゆる不快なものをノイズ(雑音)と言います。
上記で例を挙げたものはすべて人が体感でき、人から見たノイズです。
ここで扱うノイズとは電磁波ノイズと呼ばれ、電気と磁力で出来たノイズとなります。
電気は身近にいっぱい使っていますが電気自体は見えませんよね?
磁力も見えませんし、磁石を持っていないと体感できませんよね?
電気と磁力で出来たノイズなので人は見えなく、体感もできないのです。
だから電磁波ノイズに影響が・・・と言われてもイメージが出来ないのは当たり前なんです。
電磁波ノイズは機械や電子機器から見た不快なノイズなのです。
人への影響はほぼ無いのです。
電磁波ノイズってなんで発生するの?
小学校、中学校の理科の実験を思い出してください。
小学校の時、クギにコイルを巻いて電池で電気を流すと磁石になる電磁石を作りませんでしたか?
中学校の時、フレミングの左手の法則を習いませんでしたか?
コイルの周りに磁石を近づけると電気が流れる。
逆にコイルに電気を流すと磁石になって反発しあうという実験をしたと思います。
引用
関西電力HP
https://www.kepco.co.jp/sp/energy_supply/energy/kids/science/topic09.html
思い出しましたか?
機械や電子部品も電気を流して動かします。
そうすると目に見えない磁気が発生して、周りの機材にも磁気が触れます。
周りの機材に触れると電気に戻り、周りの機材に想定していない電気が流れるようになります。
これが電磁波ノイズと呼ばれるものです。
社会人になってノイズ、EMCと聞くと難しい分野に感じますが、
実際は理科の延長線の話で一度勉強したことがあるのです。
電磁波ノイズは何が問題なの?
スマホや車、電子レンジや冷蔵庫など日々様々な電子機器を使って生活しています。
また、私の携わっている自動車業界では自動運転化や電気自動車化が進み、
これからさらに電子機器制御が増えて、5Gなどの通信制御なども扱い高度化していきます。
高度化している電子機器はICなどで制御を行うため、
数mA/μAなどの微小な電流、電圧を扱いながら動作をします。
このICなどに電磁波ノイズが乗ってしまうことで電流/電圧の制御バランスが崩れ、
機器が想定していない誤作動をしてしまいます。
例えば突然止まってしまったり、逆に突然動きだしたり、破損など起きたり。
こういった現象を引き起こさないために、
「電磁波ノイズを出さない/影響を受けない設計をして行きましょう」という考えが
『EMC』と呼びます。
EMCとは?
EMC(イーエムシー)とは電子部品が電磁波ノイズの影響を受けない、又は電磁波ノイズを出さない電子部品を設計、製造しましょう。という意味の言葉です。
Electromagnetic Compatibilityの頭文字で、
日本語では電磁両立性、電磁環境適合性と訳されます。
さらに電磁波ノイズに対しての「耐性があるか」、「放出しないか」で言葉が細分化されます。
ノイズに対する耐性・・・イミュニティ(immyunity) = 免疫性
別名:EMS(Electromagnetic Susceptibility) = 電磁波感受性
ノイズの放出・・・エミッション(Emission)=排出量
別名:EMI(Electromagnetic Interference) =電磁波妨害
これらの性能を確かめるツールとしてEMC評価と呼ばれるものが必要とされています。