失敗から学ぶシリーズ

​第1回:【失敗談】GNDを「ただの線」だと思っていたら、ノイズが10dBも跳ね上がった話

こんにちは!自動車部品メーカーでEMC(電磁両立性)評価を担当して15年の「先輩」です。

これからブログを通じて、僕が現場で流した冷や汗と、そこから学んだ「教科書には載っていないノイズ対策のコツ」を皆さんに共有していきたいと思います。

1. 繋がっていればOK……その油断が「地獄」の始まり

15年前、まだ新人の頃の僕は、ある製品のノイズ測定(エミッション試験)を担当していました。

試験ベンチに製品をセットし、バッテリーのマイナス(GND)を繋ごうとした時のことです。手元に適当な太い線がなかったので、「電気が通れば何でも同じだろう」と、そこら辺にあった細いワイヤー1本で繋いでしまったんです。

見た目は少し頼りないけれど、電気的にはちゃんと繋がっている。「よし、これで準備万端だ!」そう思って測定ボタンを押しました。

2. 目の前が真っ暗になった「10dB」の差

画面に表示された測定結果を見て、僕は凍りつきました。ノイズのグラフが、合格ラインを大きく超えて飛び出していたんです。

パニックになっている僕に、ベテランの先輩がトコトコと歩み寄ってきて、一言こう言いました。「君、その細いGND線、アンテナになってるよ」先輩に言われるがまま、その細い線を捨て、平べったい網状の「編組線(アースストラップ)」に変えて、最短距離でガッチリとGNDを落としたところ……なんと、ノイズが10dB(電力比で10倍!)も下がったんです。

3. プロが教える「GNDの目標値」と「道具選び」

じゃあ、具体的にどうすればいいのか? 15年経った今の僕なら、当時の自分にこうアドバイスします。

目標は「0.5Ω以下」を目指せ「繋がっている」だけでなく「抵抗がない」ことが重要です。

EMC評価において、GNDの接続抵抗は0.5Ω以下を一つの基準にしてください。0.5Ωを超えてくると、そこがノイズの出口(アンテナ)として元気に活動し始めてしまいます。テスターを信じすぎてはいけないこの「0.5Ω」をどう測るかが、プロとアマの分かれ道です。

ベスト:LCRメーター単なる抵抗だけでなく、ノイズの天敵である「インダクタンス(電気の通りにくさ)」も測れます。

次点:ミリオームメーター(アースメーター)0.5Ωという微小な値を正確に測るには、普通のテスターでは分解能が足りません。ミリ単位で追い込める専用機が必要です。

最悪(でもやらないよりマシ):普通のテスターテスターの限界は0.5Ω程度。もしテスターで「1Ω」と出たら、それはEMC的には「道が閉ざされている」のと同じだと思ってください。

4. まとめ:GNDは「太く・短く」が鉄則

電気には必ず「帰り道」が必要です。その道が細くて長いと、電気は迷子になってノイズとして暴れ出します。

「GNDは0Vじゃない。最短で、一番太い帰り道を用意してあげるのが、エンジニアの優しさだ」この記事が、皆さんの「ノイズが落ちない!」という悩みを解決するヒントになれば嬉しいです。

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